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鍼灸治療の対象かも?動物病院で行う東洋医学の治療法がおすすめの理由2023.10.16

獣医の診察画像

動物病院で鍼灸治療が出来るのはご存知でしょうか?

近年、人と同様に獣医療良領域でも、東洋医学(中獣医学)の治療法が話題となっています。従来の西洋医学中心の治療が主体なのは変わりませんが、それだけでは得られない様々な効果を期待して、東洋医学による治療法を取り入れている動物病院が増えてきました。

動物に鍼灸治療ってイメージがつかない…と思われる方もいらっしゃると思います。例えば、椎間板ヘルニアで腰痛のある子や、足腰の弱った高齢の子に対して、鍼灸治療を実施することがあります。このような事例をお考えいただくと、動物でも東洋医学の治療を実施することが、少し身近に感じられるのではないでしょうか?

当院で実施している東洋医学について、動物病院ではどのような治療ができるのか?対象となる症状や病気はどんなものなのか?などを詳しく解説していきます。

東洋医学の考え方と、動物病院での活用

五行学説の画像

身体はもちろんのこと、地球のあらゆるものが五つの要素から成り立っている、という五行学説の考えをもとに行われるのが東洋医学であり、獣医療の領域でも、東洋医学の考え方は人と変わりません。その治療法は、「鍼灸治療」、「漢方治療」、「手技治療」であり、動物へもそれらが応用されています。
犬や猫など動物の体にも経穴(けいけつ=ツボ)があり、それを結ぶ経絡(けいらく)があります。鍼灸治療は、鍼や灸を用いそれらに働きかけることで、その動物が本来持っている自然治癒力を高めることを目的とします。

一方、西洋医学とは現代医学とも呼ばれ、病気を科学的および理論的に分析し、原因を判明させてそれらを排除することを行います。いわゆる病院での一般的な病気の治療はこれにあたります。
西洋医学と東洋医学のどちらも、動物の身体を治すという点は根本的に変わりませんが、西洋医学と東洋医学双方の観点から、それぞれが得意とする分野を組み合わせることで、西洋医学ではカバーできない領域や、治し切れないような状況に向き合っていくことが期待できます。

特にこんなケースで鍼灸治療がおすすめ

FAQの画像

椎間板ヘルニア(※)に関連した下記の状態
 ・様々な理由で手術を選択しない場合
 ・手術するほどのグレードではないが、痛みが取れないなどで治療が長引いている場合
 ・繰り返す症状の再発予防
 ・術後のリハビリ
脳神経疾患のよるてんかん発作
高齢による認知機能低下
腫瘍性疾患の緩和治療
慢性内臓疾患(ex.慢性腎臓病など)による食欲低下、体調不良
腰痛など身体の疼痛   など

※椎間板ヘルニア:背骨の骨と骨の間にあるクッションである「椎間板」が変形、突出して、脊髄を圧迫する病気です。痛みや麻痺、排尿障害などを引き起こすことがあります。病状が進行すると歩けなくなるだけでなく、脊髄軟化症を発症すると命の危険が伴う病気です。特に、軟骨異栄養犬種(ダックスフントなど)や老犬に発症リスクが高い病気です。
(注:椎間板ヘルニアの治療として、東洋医学が第一に推奨されるわけではありません。)

椎間板ヘルニアになった犬に見られるサイン

・ふだんとは違う歩き方、ふらつき
・散歩や段差、抱っこを嫌がる
・背中に触れられると鳴いて痛みを訴える
・足を引きずる
・自力で排泄ができない

実際の治療は?担当獣医師のことば

鍼や灸と聞くと、「痛そう」「熱そう」という印象を持つかもしれません。しかし獣医療は、患者さんである動物達の協力がなければ行えませんので、基本的に動物たちが治療を嫌にならないような、「痛くない施術、熱くない施術」を行っています。煙に驚くことはあっても、熱がることはほとんどなく、鍼灸が大好きな子もいるほどです。

高齢動物の場合、「目が見えにくい・耳が聞こえにくい・足腰が弱る」という身体の変化がすでに起こっていることが多いため、新しい治療を組み合わせることに大きな不安を抱えている飼い主様をおられると思います。そんな動物たちにとっても、東洋医学による治療を組み合わせることは、動物達にとってストレスが少なく、体にも負担の少ないやさしい治療といえるでしょう。

まとめ~東洋医学(中獣医学)の知識・技術のある動物病院で鍼灸治療を

鍼灸などの東洋医学による治療は、動物への負担を減すことが期待できる方法ですが、専門的な技術が必要となります。また東洋医学では治せない病気があるのも事実です。
東洋医学の知識、経験をもつ獣医師が在籍し、従来の現代医学に東洋医学を組み合わせることで、その子に合った方法で総合的なアプローチを目指すのが当院の特色です。

注:診療ご希望の方は、お電話またはご来院にてご相談ください。(施術は予約制。担当獣医師が不在の場合もございます。)