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動物病院選びの成功法!セカンドオピニオン活用術 2024.02.27

大切な家族の一員であるペットが病気になると、飼主様の不安は大きいですよね。

簡単に治らない病気の場合、「もっと他の方法がないのだろうか」という迷いを抱く人もいるでしょう。そこで、最近はセカンドオピニオンを活用する飼主様も増えています。

セカンドオピニオンで他の病院で意見を聞くことは、飼主様の不安を取り除けるうえ、ペットにとってもより良いケアに結び付くこともあります。

今回は動物医療における「セカンドオピニオン」について、正しい意味合いと注意点などをお話していきます。

セカンドオピニオンとは?

人間の医療では当たり前になりつつある「セカンドオピニオン」。動物の医療現場でも、セカンドオピニオンは納得の治療へ近づくための方法として活用する方がいます。

セカンドオピニオンは比較的よく聞く言葉ですが、なかには意味を取り違えているケースもあるようです。

セカンドオピニオンの意味について

セカンドオピニオンは、自分の病気の診断や治療について、主治医とは別の病院の医師に意見を求めることです。近年、ペットの医療でもセカンドオピニオンを求める飼主様は多いです。

病気の診断や治療についてより良い方向へ導くための意見を求めることができるセカンドオピニオンですが、他の動物病院を受診することに対し「主治医に対して失礼にあたるのでは…?」と感じている方もいるようです。

もしかしたら、ご自分が納得するまで病院を何度も転院する「ドクターズショッピング」と混同して誤解されているのかもしれません。

セカンドオピニオンは、前提としては現在の主治医のもとで納得の治療を受けるために他で意見を聞くという意味があります。
「この治療法で大丈夫なのだろうか」という不安を解消し、治療に前向きになることを目的としているため、後ろめたさを感じることはないのです。

セカンドオピニオンのメリット

セカンドオピニオンの最大のメリットは、飼主様が得られる安心感ではしょう。

特に、難しい病名を告げられると「うちの子が本当にその病気なの?」と誤診ではないかと思う方もいるかもしれません。セカンドオピニオンによって、他の獣医から同様の診察をしてもらうことで、今後の治療を安心して進められるでしょう。

なかにはより良い方法を見つけてもらい、転院することで状況が良くなるケースもあります。

一方で「他の手術方法を提案してもらえた」というように、治療の選択肢が増えるメリットもあります。他の獣医が違った視点で見ることは、今後の治療において“納得”という形を見い出せる方法といえるでしょう。

セカンドオピニオンにはデメリットもある

セカンドオピニオンのデメリットは、他の動物病院を受診する時間と費用が増えることです。

動物病院によって対応は異なりますが、基本的には相談だけでなく、実際に診察を受けていただく必要があります。それに際して、かかりつけ獣医にて既に行った検査をもう一度受けていただくケースが多くあります。

ケースバイケースですが、時間とともに費用もかかる点を理解しておくことが大事です。

後ろめたい気持ちは不要

人間の医療でも言えることですが、セカンドオピニオンをするときにどこか後ろめたさを感じる飼主様も多いようです。「せっかく診断してもらったのに他の病院に行くなんて失礼かもしれない」という思いがあるのでしょう。

ただ、前述したように、セカンドオピニオンの根底にあるのは、「病気に苦しむ動物を良い方向へと導くため」という考えです。
何らかの不安を持ち続けたまま治療を続けるよりも、セカンドオピニオンによって改善できることがあります。後ろめたさを感じることはありません。

現在の獣医に話した方がいいの?

現在の獣医師との関係性にもよりますが、セカンドオピニオンについて話せる場合はお話いただいた方がいいでしょう。それまでの診察状況や検査結果を共有してもらえる可能性があるからです。

紹介状や画像診断などの情報があると、相談先の獣医が意見を出しやすくなるでしょう。動物にとってベストな方法に導いてあげたいのは、飼主様はもちろん、かかりつけ獣医の方も同じ思いです。セカンドオピニオンをすることで「治らない」という状況が好転するならば、それは望ましいことです。

ただ、数いる獣医師のなかには、自分の診断に意見されることを嫌う、セカンドオピニオンをすることに対して不満な表情をする獣医師がいるかもしれません。セカンドオピニオンは飼い主さんの正当な権利ですが、嫌な思いをしてまで無理に伝える必要はないでしょう。

セカンドオピニオンが必要な場合

比較的、よくある病気や症状のケースでは治療が長引くこともあまりなく、飼主様もそれほど思い悩まず、セカンドオピニオンの必要性があまりないかもしれません。ただ、次のようなケースではセカンドオピニオンをした方がいいこともあります。

治療を進めても症状があまり改善できないとき

家族同然のペットですから、病気が見つかったら早く治してあげたいですよね。
しかし病気には、治るものと、そうでないものがあります。治療が難しい病気で長く通院している場合や症状が安定しない場合は不安になるでしょう。現在の治療方針に納得できない飼主様もいるかもしれません。

「提示された治療のほかに選択肢がなかった」、「本当は大きな病院へ紹介してほしいのに提案してもらえない・・・」
などのケースもセカンドオピニオンが推奨されるでしょう。

獣医師の多くは、これまでの経験や知識から治療法を提案しますが、動物病院の規模や獣医師の得意分野、所有している医療機器などによっては、一つの治療法しか提示されないケースもあるかもしれません。
場合によっては、「手術はできません」「方法はこれだけです」と言われ、絶望される飼主様もいらっしゃいます。
しかし、あくまでもその獣医師の見解であって、他の獣医なら別の提案ができるケースもあり、そういった意味では、セカンドオピニオンはとても重要な意味を持ちます。

飼主様の不安が大きいとき

「なんの病気なのか?」「なぜ症状が改善しないのか?」「この先どうなるか」などについて、獣医からの説明に納得がいっていない場合、飼い主様は大きな不安を抱えていることでしょう。
治る病気の時は、説明が不十分でもセカンドオピニオンの必要はないでしょう。しかし不安定な状態であればあるほど、獣医の説明と飼い主さんの理解が必要あり、それが欠けているケースではセカンドオピニオンが推奨されます。

言葉を話せない動物は、病気を治療するときの主導権が飼主様にあります。
しかし、大事なペットの病気と向き合っていく時に、「本当にこれでいいのだろうか…」と大きな不安を抱えていることで、飼主様の動揺を感じ取って、不安に感じているペットもいます。
動物は言葉が話せない分、飼主様の気持ちに敏感です。
ペットを安心させるためにも、セカンドオピニオンで納得の答えを探し出すことは大事と言えるでしょう。

どのようにセカンドオピニオンを求めればいいのか

次にセカンドオピニオンを求める方法について見ていきましょう。

疑問に感じる点をかかりつけ獣医師に聞く

まずは、病気についての疑問や不安をかかりつけの獣医師に相談してみましょう。

理解しやすいように説明し直してくれたり、専門医や高度診療施設などを紹介してくれたりすることもあるでしょう。
それでも不安なとき、納得できないときは、セカンドオピニオンを求めることをおすすめします。
かかりつけ獣医にはそのことを必ずしも伝える必要はありませんが、関係が良好であれば伝えてもよいでしょう。

受診の記録や検査データ、診断書などを発行してもらえると役に立つでしょう。

セカンドオピニオンを求める動物病院を選ぶ

セカンドオピニオンを求める動物病院へ問い合わせや予約をする場合は、「セカンドオピニオンを受けたい」という点を必ず伝えましょう。

・ペットを連れていった方がいいか
・ペットを連れていけない場合はどうしたらいいか
など具体的な指示をあおぎましょう。

受診の際はペットの症状をメモしておく

これまでの経過や飲んでいる薬、現在の状況などを箇条書きでもよいのでメモしたものを持参しましょう。
メモがないと肝心のことを言い忘れることもあります。

セカンドオピニオンの注意点

セカンドオピニオンをするときは、次のようなポイントに注意しましょう。

むやみなセカンドオピニオンはNG

安易な気持ちで行うセカンドオピニオンはおすすめできません。
本来のセカンドオピニオンとは、他の獣医師の意見をもとに主治医と今後の治療についてベストな方法を見い出していくものです。

しかし、それほどの不安要素がないのにもかかわらずセカンドオピニオンを求め、複数の新しい動物病院に求めることは、ペットにとって負担となります。愛するペットのためにも、むやみに色々な病院を転々とするのはおすすめできません。

マナーを守ってセカンドオピニオンを受ける

セカンドオピニオンを受けるとき、かかりつけの動物病院に不安や不満を感じている方が多いです。
しかし、だからと言って主治医の診断を悪く言うのは避けましょう。
たとえ転院したとしても、転院先の病院が休診の日には、またもとの病院にお世話になるかもしれません。
かかりつけ獣医との関係は良いのが望ましいでしょう。

家族のサポートが大切

動物の医療においては、犬や猫などペットに対する家族の思いがとても大事です。
「なかなか回復しないペットの状況に納得できない」と思いつつも、「セカンドオピニオンをするとかかりつけの獣医師に申し訳ないかも」と思って諦めてしまうのは残念なことです。

セカンドオピニオンによって、別の選択肢があるかもしれないからです。

言葉が話せない動物だからこそ、後悔のないようにご選択ください。

適切なタイミングでセカンドオピニオンを活用することは、大事なペットを守ることにつながります。

まとめ

病気の治療について人間と動物の異なる点は、診察を受けている動物ではなく、飼主様が医療の選択をしているということです。

“話せない動物”だからこそ、セカンドオピニオンの活用をした方がいいケースもあります。セカンドオピニオンはむやみにする必要はありません。

ただ、
・手術をしたいのに高齢を理由に断られた
・「これ以上何も治療がない」と告げられた
・しばらく通院しているのに症状が改善しない
・治療についての説明をあまりしてくれない
・質問したいことがあるのに言いづらい雰囲気
などの状況なら、ペットのためにもセカンドオピニオンはおすすめします。

当院にも、セカンドオピニオンをしたいという飼主様がいらっしゃいます。
新たな病気が発覚したり、より負担のない治療を選択出来たり、より的確な治療に迎えたケースもあれば、
納得安心して元のかかりつけ病院に戻られたケースも多くあります

セカンドオピニオンを求める飼主様は大きなご不安をお抱えのことと思います。
疑問やご不安があれば、お気軽に私どもにお話ください。
詳しくお話をお聞きし、より良い方向に向かえるように考えてまいります。

竹原 秀行(竹原獣医科院 院長)

監修者 竹原獣医科医院 院長

2009年~2011年 日本小動物獣医師会 理事
2011年~2019年 川崎市獣医師会 会長
2019年~    川崎市獣医師会 顧問

所属:比較眼科学会



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