犬の目の病気かも!?特徴や治療についてご説明します。2023.12.15
犬との絆が深まるアイコンタクトですが、涙や目ヤニを見つけても「単なる涙かな…」と思ったり、前足で目をこすっている可愛い仕草も「目がかゆいのかな?」と様子見したりする(飼主様も多いのではないでしょうか)ことはないですか?
実は、犬の涙や目ヤニは、目の病気のサインのことが多いです。
今回は代表的な犬の目の病気の特徴や、手術・治療について詳しくお伝えしていきます。
Contents
白内障
白内障は、犬の目の「水晶体」が白く濁り、視力の低下やひどければ失明にまでおよぶ病気です。
愛犬が白内障かも…。チェックポイントは?
白内障は初期の場合、飼主様が見ても、白い濁りに気づけないことがほとんどです。
進行すると白い濁りに気づ(くもののすでに視力が低下している状態で物にぶつかることも増えるでしょう)きますが、階段を怖がって降りない、昼間は普通だが夜間の散歩では
躊躇しながら歩く、など視力の低下が見られます。
白内障は自然治癒せず(、視力が著しく低下した犬にとって“周りの様子が見えないこと”が大きな恐怖となり、攻撃性が増すこともあります。)白内障の進行は視覚を失うほか、合併症(緑内障、ブドウ膜炎、結膜炎)による痛みを併発し、犬にとっては苦痛でしかありません。
人間の白内障は老化が原因というイメージを持つ方も多いですが、犬の場合、若年性で発症するケースも多いです。若い年齢で発症すると、進行スピードも早いことに注意しなければなりません。
また、犬は糖尿病が原因で白内障を合併症として引き起こすケースも多く、その場合は著しく早く症状が進行する可能性が高いです。
愛犬が白内障かもしれない…という気づきがあったときは、放置せずにすぐに受診をおすすめします。
目が白く見える中には白内障ではなく核硬化症があります、核硬化症は視覚は保たれますので特に治療の必要はないケースがあるので目が白くなって来たら早めの受診を勧めます
白内障の治療や手術とは?
白内障の治療には、内科的治療の「点眼薬」と、外科的治療の「白内障手術」の2つがあります。
内科的治療を選択できるのは白内障の初期だけで、白内障が完全に治るわけではなく、進行をおさえるにすぎません。
また、白内障の進行度症状、犬の年齢にもよりますが、手術により視力の回復が望めるケースもあります。水晶体の濁り除去し人工レンズを入れる手術です。視力が回復することで生活の質も高まり、安心した毎日を送れます。
角膜潰瘍
犬の角膜潰瘍とは、目を保護している薄い“角膜”が何らかの原因で傷つき欠損する病気です。
愛犬が角膜潰瘍かも…。チェックポイントは?
飼主様が気づきやすいのは、犬が目をショボショボさせて開けにくそうにしている様子でしょう。角膜に潰瘍が出来た場合、神経を刺激された目に痛みを感じやすくなるため、目を開けづらそうにします。
そのほか、
・目ヤニが増えた
・目が充血して赤い
・涙がたくさん出ている
などの症状が見られるでしょう。
角膜潰瘍の原因は、目をケガしたことや細菌・ウイルスによる感染、まつ毛の異常、シャンプーなどの物理的な刺激によるものが挙げられます。
角膜潰瘍の治療や手術とは?
角膜潰瘍のうち、損傷が表層の部分的なものを「表在性」、さらに深いところまで傷ついたものを「深部性」、そのほか複合型、デスメ膜瘤、難治性など、角膜における損傷の範囲で症状の現れ方や治療方法までが変わってきます。
角膜は、空気はもちろん、さまざまな物に触れ、しかも「薄い」という特徴から非常にダメージを受けやすいです。
角膜潰瘍が表面的な損傷によるものなら点眼薬で様子を見ることができますが、潰瘍が深部に達している場合や、点眼薬で治らない場合は手術が(検討されることになるでしょう)
必要になります
いずれにしても、犬の目に傷がついたかもしれないときは、早めの受診が大事です。
緑内障
犬の緑内障は、房水(目のなかの液体)が増加し眼圧が上昇することで視覚に異常を起こし、視力の低下や視野を狭くするなど、痛みもともなう病気です。
愛犬が緑内障かも…。チェックポイントは?
緑内障を発症した犬は、目の充血やショボショボして開けづらそうな様子を見せることがあります。
また、突然発症した急性緑内障は痛みが強いケースも多く、「痛がる」「目をこすって気にしている」という症状も見られるでしょう。
緑内障は、両目ではなく、片方の目に異常がみられるケースが多いです。(さらに慢性化すると、視覚が低下して物にぶつかったり、痛みで食欲が落ちることもあります)緑内障は急速に視力を失う病気なので早い受診と処置が必要です。
緑内障の治療や手術とは?
犬の緑内障は、突然発症する「急性緑内障」、すでに視力がかなり低下している「慢性緑内障」があります。どちらも点眼薬を使いますが、眼圧が下がらなければ早い処置が必要です。
緑内障は急速に視力を失う病気です。
(前者の場合、眼圧をコントロールするための点眼薬を中心とした治療です。さらに慢性化して視覚異常を起こしていれば手術が検討されます)
眼瞼内反
犬の眼瞼内反(がんけんないはん)とは、まぶたが内側に曲がって入り、角膜を刺激する病気です。
愛犬が緑内症かも…。チェックポイントは?
まぶたと共にまつ毛が入り込むことで、角膜や結膜に炎症を起こします。
多く見られる症状は、涙が出る、目ヤニが増えたというものでしょう。そのうち、角膜の白い濁りが見られるほか、痛みで目が開かなくなることもあります。
また、眼瞼内反を起こした犬は、次第に「目が痛い・かゆい」と前足でこするような動作を見せたりもします。
眼瞼内反の治療や手術とは?
眼瞼内反の症状の重さにもよりますが、内科的治療と外科的治療が検討されます。
病めの場合、刺激の元となるまつ毛を取り除いた後、すでに起こっている角膜炎等の炎症に対する点眼薬の治療により、症状の緩和ができることがあります。
ただ、内反(まぶたが内側に入りこむ)が重度であれば、根本的な治療のために手術が(検討されることが多いです)必要です。
また、眼瞼内反の原因にはケガなどの外傷や加齢で起こるケースもありますが、遺伝のケースがよく見られます。
老齢に限らず、子犬でも発症する病気なので、犬が目を気にする様子を見つけたら動物病院での受診をおすすめします。
チェリーアイ
犬のチェリーアイの正式名称は「第三眼瞼腺脱出」で、第三のまぶたとなる「瞬膜」が目から飛び出す病気です。
愛犬がチェリーアイかも…。チェックポイントは?
目頭の内側にある瞬膜は、動物に存在するまぶたで「瞬間的に目を保護する働き」を持っています。奥には涙や油膜を分泌するための瞬膜線がありますが、ふだんは隠れて見えない部分です。
ただ、この瞬膜がもともと未発達でしっかりと繋がっていないケースの場合、感染など何らかの刺激によりチェリーアイになりやすいと言われています。
チェリーアイになると赤い組織が表面に飛び出し、まるでサクランボのようだと「チェリーアイ」という病名が名づけられました。
症状の度合いによって異なりますが、
・目ヤニや涙量が増える
・目が赤い
・瞬きをよくする
・まぶしそうな様子を見せる
・目をこする
などの異変を起こすことが多いです。
チェリーアイの治療や手術とは?
チェリーアイは自然に治癒できないため、基本的には(内科的治療か)外科的治療になります。似たような症状で濾胞性結膜炎では症状が比較的軽めのときは点眼薬や内服薬での治療を選ばれるケースが多いですが、重度の症状では内科的治療では治らないため、手術が選択肢となるでしょう。
(また、軽度で内科的治療を選ぶ場合でも、一時的に症状が良くなって後に再発するケースも。その場合は、外科的治療をした方がいい場合もあります。)
いずれにしても、チェリーアイらしき様子が見られたときは、「自然治癒はしないもの」と考えて、早めに動物病院で診断してもらうことが大事です。
逆さまつ毛
人間でもおなじみの目の症状「逆さまつ毛」は、外側ではなく内側、つまり眼球に向いてまつ毛が生えた病気です。
愛犬が逆さまつ毛かも…。チェックポイントは?
逆さまつ毛は眼球を刺激し、
・目ヤニや涙が増加する
・充血している
・目を細める(まぶたを閉じるようにする)
・気になるため目をこする
・瞬きをよくする
などの様子を見せる犬が多いでしょう。
逆さまつ毛の治療や手術とは?
逆さまつ毛には、
・睫毛乱生…眼球に向いてまつ毛が生える(本来とは違う向き)
・睫毛重生…まつ毛が生える正常な位置ではなく、内側の毛根から生える
・異所性睫毛…本来生えるべきではないところからまつ毛が生える
などさまざまな症状があり、「まつ毛の生え方にどんな異常があるか」という分類から治療法を考えていく必要があります。
まつ毛そのものの生え方が異常の場合、まつ毛を定期的に抜くことで、眼球への刺激を防ぐことができます。程度によってはレーザー等による永久脱毛の処置が適用されます。そのうえで点眼薬といった内科的な治療にうつることになります。
また、生え方ではなく、「眼瞼内反」などまぶたに異常があって逆さまつ毛となっているケースもあるでしょう。この場合、まぶたの手術を行い、正常な位置にまぶたが戻ることで逆さまつ毛が改善できます。
いずれにしても、現在の状況をきちんと診察し、どんな治療が最善かを見極める必要があります。
まとめ
犬の目の病気はいくつもありますが、発症から早いほどに症状の緩和や回復ができる可能性が高まります。
飼主様のなかには「様子を見ているうちにひどくなってきた」と、いつもと違う目の異変に気づきながらも様子見で放置し、受診した頃には重症化しているケースも少なくありません。目の病気には、失明に結び付く緊急度の高いものもあるため、できるだけ早めの受診が大事です。
また、手術は“目”というデリケートな場所だからこそ、適切な術式の選択や、術後の正しいケアが重要です。当院では、今回ご紹介した目の病気にすべてについて、手術・治療に対応しています。病状をきちんと診断し、症状に合わせた手術や治療を行います。
犬の目に異変で少しでも違和感があったら早めに当院にご相談ください。
監修者 竹原獣医科医院 院長
2009年~2011年 日本小動物獣医師会 理事
2011年~2019年 川崎市獣医師会 会長
2019年~ 川崎市獣医師会 顧問
所属:比較眼科学会
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